SSVG 宇宙探査の旅

ソーラーセイル

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SSVGの3つの推進装置のうち、作者が一番に実現したかったのはソーラーセイルです。なぜかというと、ソーラーセイルを使った惑星間航行の実例(計算例)が全く見つからなかったためです。


SSVGのソーラーセイルは太陽の光を反射して推力を得る、光の帆です。ロケットエンジンやイオンエンジンなどの推進装置とは違って推力を発生させても燃料や推進剤を消費しませんから、惑星間航行には好都合なのですが、推進装置としては次のような不自由な面があります。


(1)推力の方向が不自由
ソーラーセイルは平面鏡で、(完全な鏡面を仮定した場合)推力は鏡面に垂直に、太陽から遠ざかる方向に働きます。太陽に近づく方向の推力を得ることはできません(太陽に近づくように軌道を変更することはできます)。


(2)推力の方向と大きさの関係
推力の方向を変えると、推力の大きさが変化します。
例えば軌道の大きさを変える(遠日点距離や近日点距離を変える)ためには推力を軌道の接線方向やその逆方向に向けることが有効なのですが、ソーラーセイルでその通りのことを行おうとすると、セイル面と太陽光線のなす角が小さくなり、セイル面で反射する太陽光が減って推力が激減してしまいます。


(3)太陽までの距離と推力の大きさの関係
ソーラーセイルの推力は太陽光の強さに比例します。太陽光の強さは太陽までの距離の2乗に反比例しますから、探査機から太陽までの距離が2倍になれば推力の大きさは4分の1になってしまいます。


このように不自由ですし、実用化はだいぶ先になりそうなソーラーセイルですが、もし実現できればその長所(燃料や推進剤を消費しないこと)は宇宙航行の強い味方になるでしょう。SSVGで探査機を飛行させ、ソーラーセイルの有効な使い方を考えてみてください。



whiskie14142/植月修志